アートディレクター石岡瑛子さんが亡くなりました。73歳とのこと。
東京芸大を卒業した後、資生堂やパルコの広告で活躍され、その後はNYに拠点をうつし、国際的に活躍されていました。
1994年青山スパイラルホールで「対話(ダイアログ)」と名付けられたクリエーターと直接対話する試みがありました。のべ6時間にわたり、会場とクリエーターがスライドをみせたり、考えをのべあったりします。
入場料はなんと100円(ユネスコに寄付されました)、しかしすべて抽選。4日間おこなわれるイベントで、その中の1日が石岡瑛子さんでした。
以前より石岡さんの作品のパワーに圧倒されていた私は、すぐ応募。ラッキーなことに「芸大の試験より高い倍率(by石岡さん)」をくぐりぬけ、当選したのでした。
今でもその日のメモを自分のそばに置いています。
私のメモをかき出すと…
-----------------------------------------------------------------------
1994年4月23日
memoより
・新しい美術のコンセプトを作れる人
・アウトサイダー的な人物をどんどん起用できる人間が
いる→欧米
いない→日本
・”MISHIMA" ポール・シュレイダー;緒形拳
・小説→作者の化身
・ひとつの進歩をとげるためには、あらゆる勇気を持たなくてなならない
・映画(作品)の良し悪しではなく姿勢
・何もないところから生み出せるか
・決して流行を追わない→永遠に新しい
・DESIGNは無限の、宇宙のようなもの
※concept = 概念
-----------------------------------------------------------------------
今でも会場でどのような話をされたか、鮮明に思い出します。
自分でコンセプトの注釈をつけているのは、きっとこの時はじめて「コンセプト」という言葉を知ったのだと思います。今では私もコンセプトのない企画のダメさがわかりますが、「新しい美術のコンセプト」を創りだすことは、容易ではありません。
仕事で何かに迷ったとき、ふと思い出してこのノートを見返しました。「何もないところから生み出せるか」の元は、フランシス=フォード=コッポラ監督の映画「ドラキュラ」の衣装デザインをしたときの話でした。石岡さんはコッポラから「何もない白い壁の部屋」に入れられ、ここでデザインするよう言われたそうです。何も真似するものがない、刺激するものがない、出てくるのは自分の内側からだけ。当時美大の4年生だった私は、とても反省したのを覚えています。大学で課題が出されると、学生の多くは図書館へ行きました。その課題のヒントになるものをみつけようとしたのです。今ならネットで検索でしょうか。なんとなく居心地の悪さを感じながらも、それが一番手っ取り早かったので、私も図書館のお世話になっていました。
何もない部屋で生み出すこと。ときにはそれくらい自分を追い込まなくてはいけないと、心に刻みました。
「アウトサイダー的な人物をどんどん起用できる」は、自分がスタッフを採用するときに残っていましたし、「ひとつの進歩をとげるためには、あらゆる勇気を持たなくてはならない」も、仕事をしている中で何度か繰り返した言葉です。
たった6時間の出会い・対話でしたが、私に与えた影響はとても大きかったのだと思います。なので、今回の訃報は少なからずショックで思わず涙がでてしまいました。
18年前、石岡さんに教わった考え方は、間違いなくオーダーよさこい屋とオーダー太鼓衣装屋ドドーンの土台になっています。
デザインをする上で真似をするのは簡単です。お祭りの会場で「どこかでみた衣装だな」とか、「ああ、この柄真似されたな」と思うこともあります。でも、大事なのは「姿勢」。私たちは衣装のデザインをするとき、たとえ半天という形は同じでも、絶対別物にするという意思をもってデザインしています。我ながら時々頑固だなあと思うこともあります。でも、常にオリジナル、独創的であること。この姿勢を崩したらよさこい屋でなくなる、という強い信念が私の中にあるのです。
もちろん、効率化は大事な要素です。少しでもコストをさげて、価格をおさえる努力が必要ですし、企業として当然です。でも、どこを効率化するのかは、数多くある衣装屋さんそれぞれが違う。それが「姿勢」の違いだと思います。どの姿勢が良い悪いではなく、私たちはこういう姿勢で衣装づくりに取り組んでいます、ということを伝えるのが重要なのだと思います。お客さまはその中から、自分たちと考え方があう、共感できる制作会社を選んで衣装をつくる。それがお客さまも私たちも、一番幸せなのではないかと思うのです。
2年前の表参道スーパーよさこいでした。あるチーム代表さんから携帯に連絡が。「会場で歩いていたら『それどこでつくられた衣装ですか?』って聞かれたんです。で、福井の横山工藝さんです、って言ったら、『え~!私たちもですよ』って。で、今日会場に横山さん来てますよ、って話をしたら、じゃあ連絡してみますって言ってましたよ。」チーム同士は何のつながりもない、埼玉県と静岡県のチームさんでしたが、よさこい屋で衣装をつくられたお客さまが、つながっていた瞬間。うちでつくった衣装を声をかけるほどいいと思ってくれたこと、さらにどちらもうちのお客さんだったこと。大事なことを私に教えてくれているようでした。
今年のお正月に、自分のこの1年のミッションカードをつくりました。
そこに、「1ヶ月に1度は絵を描く」という項目があります。仕事でデザイン画や柄を描く事はあっても、自分から何かを描くことはほとんどしなくなってしまいました。昨年石岡さんがNHKの「プロフェッショナル」に取材されていたとき、たくさんの色鉛筆でこどものように夢中になってデザイン画を描いている姿がうつしだされていました。ああ、この気持ちを忘れてはいけないな、と感じました(ということで1月は龍を描いたのです)。どこまでも私に大事なものを気づかせてくれました。でも、今までの石岡さんの仕事、それほどたくさん知っているわけではありません。これからゆっくり、ひもといていきたいと思います。
ご冥福をお祈りいたします。
::オーダーよさこい屋:::2011年衣装制作事例 / 2011年大旗制作事例
スタッフ日記/ よさこい屋Facebook
<姉妹店>
太鼓衣装も専門店におまかせ!
:::オーダー太鼓衣装屋ドドーン:::
あなただけの柄を1mからプリント
:::オーダーぷりんと屋:::
ぷりんと屋店長ブログ
<親店>
:::株式会社横山工藝:::
布製品へのダイレクトプリント「PriX」制作事例ギャラリー
最新のコメントを見る